交通事故弁護ブログ@金沢法律事務所

交通事故に関する法律問題を解説します。@石川県金沢市香林坊の若手弁護士

腰痛で自賠責14級認定がなされたが訴訟で後遺障害逸失利益が否定されたケース

自賠責の等級が訴訟でそのまま通用しないケースがあることは、以前書きました。

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自保ジャーナル1986号61頁に、腰背部痛で自賠責14級認定がされているが、訴訟では後遺障害が認められなかった事案が掲載されていますので、ポイントを簡単に紹介します。

 

自賠責14級認定がされているが、訴訟では後遺障害が認められなかった事案

この事案では、某年1月17日に発生した事故による後遺障害の有無が争点になっているのですが、被害者(原告)は前年12月30日にも別の追突事故に遭っています。重複する休業損害申請をしたようです。

判決は、本件事故当日の原告の行動、翌日の行動、病院での診察結果、接触時の衝撃の程度、原告の相手方弁護士への言動(期限を切って治療を終了させる旨述べるとともに本件事故について示談を早急に進めるよう求め、他方、示談手続が思うように進展しないとさらにリハビリを再開して続けることを述べるなどの言動)などから、「本人の愁訴それ自体信用性に欠ける」と判断しています。

そして、本件事故による受傷の程度はごく軽微なものであった疑いが濃厚であり、後遺障害とされる疼痛も、その基礎となる原告の愁訴それ自体信用性に欠けるうえ、仮に疼痛があるとしても専ら前件事故によるもの、あるいは職業運転手の持病によるもののの可能性もある、と判断しています。

通院慰謝料も1日分のみの認定です。

 

コメント

場合によっては、事故直後の言動や医師、弁護士に対する言動がクローズアップされることもあるということでしょう。

被害者の立場の方は、加害者などへの怒りを抱える状況にあるのですが、それでも場面ごとに丁寧に・冷静に行動をするよう努めるほうがプラスになるのかもしれません。詐病などではない一般的なケースにおいても十分教訓になる話です。

 

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平